ノリタケ・プリマストーンとB品について

こんにちは、店長です。少しご無沙汰してしまいました。

あっと言う間にゴールデンウィークも終わり、沖縄はもう梅雨入りでしょうか。日本列島は長いなあと思います。春の寒空の残るところもあれば、すでに夏へ踏み出しているところも。
こちらは神奈川県ですが、今日はとても気持ち良い天気でした。
寒くもなく、暑くもなく、ああ、天国……。天国がもしあれば、こういう気候であって欲しいなあ、と煩悩総出で願います(笑)出来れば天国へ行きたいものです。


さて、先日ノリタケのプリマストーン(PRIMASTONE)というシリーズの、B品をアップしました。
そこで今日はプリマストーンとB品について、少し書いてみたいと思います。商品説明欄と重複する部分もありますが、どうぞお付き合い下さいませ。




プリマストーンは、ノリタケのストーンウェアの一つで、かのフォークストーン(FOLKSTONE)より少し後に製造開始されました。『ノリタケチャイナ100年史』というメーカー年表によると、昭和47年~昭和61年(1972-1986)、14年間、製造されたことになります。

特長としては、フォークストーンが70年代ストーンウェア界の貴公子であるなら、プリマストーンは女王といった感じです。

…分かりずらいですね…。
メーカーの説明を引用致します。

「フォークストーンがクラフト感覚の食器であるのに対し、フォーマルなディナーウェア感覚を取り入れたストーンウェアで、多彩なカラーバリエーションを展開した。」

分かりやすいです。(商品説明欄ではこちらをお借りしているので、大丈夫です。)
 primastone plate


ちなみに、フォークストーン・シリーズは、肉厚でマットな肌合い、どちらかと言えば素朴さが魅力のようです。
比べてプリマストーンは艶のある釉薬が掛けられ、華やかな趣きがあります。画柄も華やか、現代の感覚からしても、ハイデザイン、ハイセンスなものが多々見受けられ、人気の理由となっています。


そんなプリマストーンですが、ただ一つ、問題がありました。

というのは、プリマストーンはほとんどが、北米輸出用の品だったのです。

どうりで余りにも華やか、畳みと障子の部屋にはちょっと斬新では、と思われなくもないお色やデザインも少なくありません。
今でこそ、モダンと言われもしますが、当時は、欧米のお宅と流行に合わせたものだったのでしょう。

そして問題とは、プリマストーンは輸出用だったがために、国内流通量が比較的少ないのです。


今日本でみるプリマストーンは、B品か、わずかに国内販売されたものか、北米から里帰り(逆輸入)されたものになります。

B品(B級品、セカンド・グレード)とは、検品時、基準に満たないものとして、正規品から落とされたものを言います。
陶磁器の製造時にどうしても出るB品は、一般的に、その後アウトレットとして販売されることが多いようです。(もちろん販売できるものに限ります。)
洋服と同じです。

プリマストーンのB品も、ノリタケ・DGメンバーズショップという会員ショップなどで販売されたようです。

B品にも色々ありますが、今、プリマストーンの基準があまりにも厳しく感じられるのは、ディナーウェアとして販売されたこと、また輸出用だったことが理由かもしれません。
普通のストーンウェアでは、ただの特徴、もしくは魅力の一つと言われるようなクオリティにも、スクラッチ(バックスタンプに付けられた引っかき傷)が入っています。


訳有品が喜んで受け入れられ、自然体が好まれる現代の感覚からすると、女王は少し、厳しく育てられたようにも感じられます。
その基準の厳しさから、「国内に残すように、わざとスクラッチを入れた」という噂もありますが、あくまで噂で、真偽の程は確かではありません。


現代の古食器屋を悩ませるプリマストーンのスクラッチ、B品ですが、今、「日本の品質は素晴らしい」と、メイドインジャパンが世界で高く評価されるのは、当時の、高度成長期のメーカーさんが、けして妥協せず、厳しい理想主義を貫いてくれたからこそなのだと、感慨深くもあります。
多分、それが一番言いたいことです。

ただ、それは海外向けの、表の顔とも言えそうです。国内では確かに、B品とされたプリマストーンが、伸び伸びと、まだちらほらと見られるからです。



という訳で、B品といえども、それも個性。一流メーカーの確かで素敵なお品です。
人気のシリーズですが、絶対数が少ないため、なかなか気に入った柄を手に取ることも難しいです。

今回ご用意したプリマストーンも、すっきりとしたお色、デッサンのように植物が描かれた、他ではあまり見ることのないお品です。ストーンウェアなので、扱いにも気をつかわずに済みます。
この機会に、ぜひお手元で、普段使いにご愛用頂きたいと思っております。


それでは、長文になりましたが、この辺りで。お付き合い頂きましたこと、誠にありがとうございました。